モデルハウスでは見た目以上に住宅性能を確認することが重要

住宅展示場に行くと、おしゃれなキッチンや開放的な吹抜け、大きなリビングなどに目が行きがちです。実際にモデルハウスを歩いてみると、「こんなキッチンにしたい」「この間取りがいい」と、見た目や設備に惹かれることも多いでしょう。
しかし、住宅会社を比較するときに本当に確認しておきたいのは、完成後には簡単に変えられない住宅性能です。
住宅性能とは、断熱性能や耐震性能、気密性能など、安全で快適な暮らしを支える基本性能のことを指します。キッチンや壁紙、照明などは将来的に交換できますが、断熱材や建物の構造などは、住み始めてから簡単に変更できるものではありません。
元住宅営業と工務店勤務の経験から言えば、モデルハウスを見るときこそ、デザイン以上に住宅性能を確認しておくことが大切です。
断熱性能とは何か
断熱性能とは、外の暑さや寒さを室内に伝わりにくくする性能です。
断熱性能が高い住宅は、冬は室内の暖かさが外へ逃げにくく、夏は外の暑さが室内へ入りにくくなります。そのため、季節を問わず室温を保ちやすくなります。
また、エアコンで暖めたり冷やしたりした空気も外へ逃げにくいため、冷暖房効率が良くなり、光熱費を抑えることにもつながります。
断熱性能を確認するときは、「断熱材は何を使っていますか?」だけで終わらせず、住宅全体としてどの程度の断熱性能を確保しているのかを確認することがポイントです。
住宅の断熱性能は断熱等級などで示されるため、モデルハウスでは「この会社では断熱等級をどの程度まで標準としているのか」を聞いてみると、住宅会社ごとの違いを比較しやすくなります。
窓の性能も断熱性に関係する
断熱性能というと壁や天井に入れる断熱材をイメージしやすいですが、窓も室内の暑さや寒さに大きく関わる部分です。
窓には、ガラスの枚数やサッシの素材などによってさまざまな種類があります。住宅会社によって標準採用している窓が異なるため、モデルハウスでは窓の見た目だけでなく、どのような仕様になっているのかも確認しておきましょう。
例えば、大きな窓のあるリビングは開放感があり魅力的ですが、窓の大きさや配置だけでなく、断熱性や日射の入り方まで考える必要があります。
モデルハウスの大きな窓をそのまま自宅にも採用したい場合は、「この窓を採用した場合、夏や冬の室温にはどのような影響がありますか?」と聞いてみるのもよいでしょう。
耐震性能とは何か
耐震性能とは、地震に対する建物の強さを表す性能です。
住宅には耐震等級という基準があり、等級1から等級3まであります。数字が大きくなるほど、より高い耐震性能を想定した基準になります。
耐震等級3は、耐震等級1で想定される地震力の1.5倍に耐えられる水準で、消防署や警察署など防災拠点となる建物にも同等の耐震性能が求められています。
ただし、モデルハウスで「耐震等級3対応」「耐震等級3相当」といった説明を受けた場合は、その言葉だけで判断せず、実際に建てる住宅についてどのように耐震性能を確認するのかまで聞いておくことが大切です。
間取りや窓の大きさなどによって建物の条件は変わるため、自分たちが建てる住宅でも希望する耐震性能を確保できるのかを確認しておきましょう。
気密性能も快適性に関わるポイント
断熱性能とあわせて確認したいのが気密性能です。
気密性能とは、住宅にどの程度の隙間があるかを表すものです。断熱性能を高めても、建物に隙間が多ければ、そこから外気が入り込んだり室内の空気が逃げたりします。
そのため、断熱と気密は別々に考えるのではなく、あわせて確認することが重要です。
気密性能については、実際に建てた住宅で気密測定を行っている住宅会社もあります。モデルハウスでは「気密測定をしていますか」「全棟で実施していますか」など、実際の施工時にどのように確認しているのか聞いてみるとよいでしょう。
比較すると住宅会社ごとの違いが見えてくる
同じ注文住宅でも、住宅会社によって標準仕様は異なります。
例えば、モデルハウスでは高性能な窓や断熱材が使われていても、それが標準仕様ではなくオプションという場合があります。
モデルハウスで確認するときは、「このモデルハウスと同じ性能が標準なのか」という視点を持っておくことが重要です。
断熱性能、耐震等級、窓性能、換気システム、気密測定などを同じ項目で比較していくと、価格やデザインだけでは分からなかった住宅会社ごとの考え方や違いが見えてきます。
住宅性能で失敗しやすいポイント
住宅会社選びで失敗しやすいのが、設備やデザインを中心に比較してしまうことです。
キッチンや洗面台、床材などはモデルハウスでも違いが分かりやすいため、どうしても判断材料になりやすい部分です。
一方で、断熱材や建物の構造などは完成すると見えなくなるため、住宅に詳しくない人にとっては比較しにくい部分でもあります。
その結果、住み始めてから「冬に思ったより寒い」「夏の2階が暑い」と感じたり、契約後になって希望していた耐震性能が標準仕様ではないことに気づいたりするケースがあります。
住宅性能は後から変更しにくい部分だからこそ、契約前に確認することが重要です。
モデルハウスで性能を確認する質問例
住宅性能について詳しくなくても、モデルハウスでは次のような質問をしてみると比較しやすくなります。
- 標準仕様の断熱等級はいくつか
- 耐震等級はいくつか
- 標準仕様の窓の種類は何か
- 換気システムは第一種か第三種か
- 気密測定は行うか
ポイントは、単に数字や設備名を聞くだけではなく、「それは標準仕様ですか?」まで確認することです。
さらに、「実際に建てる家でも同じ性能になりますか」「性能を確認できる資料はありますか」と聞けば、より具体的に比較できます。
住宅会社を何社か見学する場合は、同じ質問をして回答をメモしておくと違いが分かりやすくなります。
性能についてさらに理解を深めたい場合は、快適な暮らしを支える断熱性能の基礎知識を参考にすると判断基準が分かりやすくなります。
まとめ
モデルハウスでは、おしゃれな設備や間取りだけでなく、断熱性能や耐震性能、気密性能など住宅の基本性能を確認することが重要です。
特に意識したいのは、モデルハウスで使われている仕様と、実際に建てる住宅の標準仕様が同じとは限らないという点です。
見た目や設備は後から変更できるものもありますが、住宅の基本性能は完成後に簡単に変えられません。
長く安心して快適に暮らせる住まいを実現するためにも、住宅展示場では「おしゃれかどうか」だけで判断せず、同じ項目で住宅性能を確認しながら住宅会社を比較していきましょう。








